【社会人博士】家族や会社への相談・報告

前回の記事で、家族や会社に相談、了承を得る前に、ざっくりとイメージしておいた方がよいことについて書きました。この記事では、それを踏まえて、早い段階で入学の意思を伝えておくべき相手、伝えるべき内容について記載します。

妻への相談

子供はまだいませんが、私には妻がいます。博士に通うことになると、一緒に過ごせる時間をはじめとして色々と環境が変わります。これらについて正直に説明し、了承を得るところが第一の関門です。幸いにして、私の妻は私の意思を大いに尊重してくれ、特にもめることなく了承してくれたと記憶しています。感謝。

以下では妻に伝えておくべきこと、話し合っておくべきことを記載しています。ポイントは考えうるデメリットを思いつく限り伝えておくことです。相手もパッと聞いただけではすべての不都合を想定できるとは限りません。しかし後からデメリットに気づかれてもめることになっては面倒です。相手がデメリットに気づいていなくても、積極的に伝えましょう。

入学理由

とはいえ、まずはモチベーションを語ります。できれば、それによって相手が得られるメリットを用意しておくとよいのですが、正直伴侶にとっての明確なメリットがあるケースは少ないと思います。もちろん私が記事にしたような、キャリアパスの広がりを主張してもよいのですが、選択肢が(理論的には)広がるだけで、実際に良い職に就けるわけではないですから、あまりそこをアピールしても、無理やり説得している感が出ると予想します。

素直に「自分勝手な理由だけど、どうしても博士号に挑戦したい。間違いなく迷惑はかけるけど、協力してくれないか」という方向性で行くのがおすすめです。愛を誓い合った二人ですから、強い思いがあれば理解してもらえるはずです。

収入

当然最も大切なことのひとつです。仮に財布を完全に分けていたとしても、一緒に旅行に行く、共用家電を購入する、などのイベントの際には双方の収入状況がかかわるので、確実に伝えておくべきです。

また、私のように基本的には大きな収入源とはならない予定であっても、仕事との両立が厳しくなって、会社の勤務体系を変える、退職する可能性もこの段階で示唆し、反応を見ておく方が好ましいと考えます。

博士号取得後の転職の可能性

これはもちろん転職を考えている方の場合です。伴侶の転職、特に引っ越しを伴うものはそれなりにストレスです。その意思がある場合、どういった職に就く可能性があるか等、少しだけ話しておきましょう。

一緒に過ごせる時間・家事の時間

我が家はありがたいことに大変仲良しですから、ここは大分つらい思いをさせた、させていると思います。これは正直入ってみないとわかりませんが、確実に減ると早い段階で伝えましょう。一定の条件を出される(土日のどちらかは家にいる、毎日家に帰ってくる)場合も考えられます。そういった場合には、研究室の選定にも関わってきます。

家族計画

これも正直入ってみなければわかりません。しかし、もし近々妊活の予定があった、あるいはその意思が相手にあった、などとなると、計画の変更は余儀なくされます。後々もめないように、早めに言っておきましょう。

学費とその出どころ

学費は大きな出費になります。複数の選択肢がある場合はそれも伝えましょう。この時、必要なら学費以外にもお金がかかる可能性がある旨も伝えます。交通費、研究書、パソコン、学会費あたりでしょうか。後ろの方は研究室の予算で対応できる場合もあるので、あくまで可能性としてですが。

出どころについては、すでに十分な貯金があれば、そこから出すことにするのがわかりやすくてよいと思います。逐次捻出する必要があるなら、月換算でいくらかかるのか伝えるとよいでしょう。

うちはもともと二人の貯金以外に、こんな時に使えそうなお金を別口座にちょうど学費相当準備してあったので、そこから捻出しています。余談ですが、このように普段の口座とは別口座から捻出することにしておくと、普段見る口座の残高などに影響がないので、精神衛生上よいです。

上司に相談

伴侶から了承が得られたら、いよいよ上司に相談です。上司と話すときは、業務周りのことに終始するので、意外と話すことは多くありません。

在職のまま入学する場合、大学に職場からの許可書を提出する必要がある場合がほとんどです。必ず早めに相談してください。

支援制度の使用について

会社で設けられている制度を使う予定なら、この時に相談します。逆に使わないつもりの場合もその旨を伝えましょう。また、他にいい制度や裏技をご存じないかも聞いてみるとよいです。

勤務時間の変化について

基本的に総労働時間は減る方向に向かうと思います。どの程度減りそうか、イメージを伝えます。ほとんど残業が出来なくなるとか、月に数日有休を使うとか。

私の場合、平日も隙を見て通学するつもりだったので「残業時間は極力減らすつもり。フレックスの範囲で通学するが、通常少し長めに勤務して、時々極端に早い時間に退勤・通学するようにする。有休も学会等の時には使うが、極端に増やす予定はない」と伝えました。

誰に許可を取るべきかについて

今対面している方以外に、伝えるべき相手がいるか確認しましょう。特に、今話している相手よりもさらに上役に話す必要がないかを確認しておくべきです。会社から支援を受けない場合はほとんど関係ないかもしれませんが、支援を受ける場合は、多少会社に人的、金銭的コストがかかることになりるので、どこかの承認作業で話が伝わる可能性があります。そうなったときに、万一上から怒られると誰も幸せになれません。

他に私が話したこと

研究予定の分野については聞かれました。この時はまだ具体的に決まっていなかったので、その旨を正直に伝えました。ただ、ぼんやりとキーワード程度のものは考えていたので、そのキーワードをお伝えしました(ex. 半導体物理、太陽電池、有機半導体、電気伝導、マテリアルインフォマティクス、計算科学)。私の場合、完全に自己啓発でしたし、業務ともそう遠くない希望だったので特に因縁を付けられることもありませんでした。

逆に、博士号取得後のキャリアパスについては突っ込まれませんでした。個人的には会社を辞める可能性もそれなりにあり、あまり突っ込まれたくない部分だったので助かりました。

チームのメンバーに報告

上司から了承が得られたら、自分と業務分担しているくらいのメンバーにはこの段階で伝えておきましょう。入学が決まってからで十分、と思うかもしれませんが、実際には、入学前にもそれなりに時間を使います。

研究室調査のためには、数日に分けで大学に行くことになりますし、教授の都合に合わせると、平日日中になることが普通ですので、この時は休みを取ることになります。研究室を決めた後は入試に向けた勉強があります。私の場合は、指導教官(仮)のご厚意で、入試前から何度か研究室のセミナーに参加させていただいたりもしました。当然入試本番には休みを取ることになります。入試に合格したら、研究に向けた具体的な調査や準備は入学を待たず可能な限り早く始めるべきです。

迷惑をかける可能性がある相手には、迷惑をかける前に報告して理解を得ておきましょう。

親への報告

社会人博士を検討しているということは、十分独立されていることと思いますので、親への相談は本来不要と思います。しかし親はいつまでたっても親です。もしかしたら多少お金を出してくれるかもしれませんし、入学式などに出たがるかもしれません。特段仲が悪いわけでなければ、一言伝えておきましょう。

最後に

なんだかんだ言いましたが、一番大事なのは早めに伝える事だと思います。二番目は迷惑をかけ得る部分についてしっかり説明する事。ごまかさずしっかりとご理解ご了承をいただいて、悠然と博士ライフを楽しみましょう。


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