【社会人博士】入学決心後方々へ相談する前に

社会人博士課程に入学することを決めたら、家族や会社に了承を得る必要があります。しかしその前に、ある程度通学周りのことを調査し、イメージを高めておくと、話がしやすいです。また、場合によってはこの段階でそのハードルの高さに面食らって、意思が揺らぐかもしれません(私がそうだったという意味ではないですよ)。この記事では、私が方々への相談の前に調べたことや、その間に考えたことについて記載します。

相談前にイメージを高めておきたいこと

方々に了承を得るために、調査を通してイメージを高めておきたいことは下記のようなことです。

①使用する会社の制度
②入学予定大学
③有休取得頻度
④家庭財政の変化

①から③は会社と相談する際に必要です。④は家族と相談する際に必要です。また、①から④を踏まえて、現実的に入学が可能かを自身で精査することになります。

では、これらを少し具体化するために私が調べたことを見ていきましょう。

会社の支援制度の調査

まずは、会社の支援制度に使えるものがないか調べました。もちろん相談段階で会社側から提案がある可能性もありますが、会社の上司もすべて把握しているわけがないので、自分で調べましょう。支援が狙い通りに受けられるかはまだわかりませんので、あくまでも希望を明確にするというだけです。この希望を元に方々に報告、相談する事になります。

結果的に私は会社からの時間的、金銭的支援は受けずに入学する事を選択しました。その為、あまり深い話はできないのですが、うちの会社にあった制度なかった制度ともに、長短や注意点などを思うがままに書き残しておこうと思います。ご自身の会社の制度を調べる際のご参考になさってください。

大学に出向

私の職場では過去には業務として大学に出向する際に、学費なども会社負担で博士課程に通っていた人がいました。(ところが、そうやって博士号をとった人がことごとく退職したため、ここ数年はその様な例はありません。)

私も、当時の研究開発テーマに絡むところで、大学に出向する価値のある仕事を提案できれば、もしかしたらそうやって入学する事も可能だったかも知れません。金銭的、時間的には社会人であることをこの上なく活かした博士号の取り方だと思います。

しかし、ここまで激しく支援されると、どうしても辞めにくくなります。それに、現在の会社に求められている研究テーマに限られてしまいます。

私の場合、博士号をとったら辞めると決めていたわけではありませんが、その可能性は非常に高かったので、その時文句を言われる事なくスパっと辞めれるように、大仰な支援は避けたいと考えました。これは完全に私の気持ちの問題なので、可能ならそんな事気にせず選択すべきだと思います。また、以前書いたように、専門分野も拡大したかったので、現在のテーマと直接絡むテーマを避けたかったのも避けた理由のひとつです。

資格取得支援制度

福利厚生の整った会社ですと、資格取得時になんらかの支援を受けられる制度がある場合もあるようです。私の場合、全く無かったわけではありませんが、博士号の取得に対する支援は、取得後に数万円の一時金というものだけでした。

資格によっては時短勤務などの融通が利くものもありました。ちなみにこの制度に関する記述は、社内規定の支援制度の欄ではなく、時短勤務の項に記されていました。

また、さらに別の資格は、会社ではなく、労働組合から支援金が受け取れるというものもありました。

このように、支援と言っても、記述されている場所が統一されていない事もあるようです。会社、労働組合、双方の制度を多角的に調査することをお勧めします。

時短勤務・休職

社会人博士のために退職を考えている方は、まずはこれらを検討すべきと思います。博士を取ったからと言って、必ず職があるわけではありませんから、戻る場所が残っているというのは精神的に大きなメリットです。私も、「とりあえず通学してみて、実際にきつさを体感してから、必要に応じて勤務時間削減、休職、退職の順で検討する」と決めています。

時短勤務の削減や休職については、もちろん会社によるのですが、うちの場合は期間が決まっており事由にもそれなりの制限がありました。介護、育児、病症、一部の資格などで、いずれも1年程度が上限でした。社内規定を軽く調べた際は「自己啓発のための時短勤務制度」の記載があったので、いざとなったら時短勤務にしようと当初は考えていたのですが、別紙を読み込んだら自己啓発の要件に博士号取得が入っていませんでした。。。そんな馬鹿な、、、研究者にとってこれ以上の自己啓発ないだろ。。。私のようにならないよう、題目に騙されず、詳細な条件に付いても注意してください。

また、住宅補助を受けているなどを受けている方は、その扱いがどうなるかにも注意が必要ですね。

大学周りの調査

最低限どの大学のどのキャンパスに通うかくらいは決めておいた方がよいです。通う大学、立地によって、使える制度も異なりますし、授業のことも考えると、通学地を決めないことには、どの程度休みが必要かなどもわかりませんので、現実的に通学が可能か見えてきません。

通学所要時間の調査・キャンパスの選定

ほとんど通学せずに済む分野ならよいですが、私の場合そうではない可能性が非常に高かったです。そのため、通いやすいように入学するなら近場のキャンパスと決めていました。土日だけで博士号を取る、という方もいらっしゃいますが、やはり困ったその時にその場に助けてくれる方がいる、平日にも通える立地が実験系研究にとっては好ましいです。

どこに通うかは調査開始時には決まっていなかったので、複数の大学、キャンパスの立地を確認して、自宅および職場からの通学手段、その所要時間についてそれぞれ調査しました。

私の場合、第一候補はギリギリ自転車圏内で、第二候補以降は電車必須でした。実験が夜遅くなることも想定されるため、公共交通機関が必須かどうかは大きな分かれ目です。これを受け、基本的には第一候補のキャンパスで話を進めることにしました。

必要単位数の確認

博士号を取った周りの方に授業をどのくらいとっていたかと聞いた際は「ひとつもとってなかったと思う」などと回答されたこともあるのですが、同じ大学でもあまり宛にしないようにしましょう。修士の時に多めにとった単位が自動繰り越しされたりする制度が世の中にはあり、記憶に残っていないだけの可能性があります。

卒業要件は、各校・各研究科の研究科規則に記載されています。というか「大学名 研究科名 卒業要件」で検索すれば研究科規則がヒットすると思います(ex. 東京大学理学系研究科規則)。自然ととれる単位(研究活動に割り当たっている単位)が何単位かの調査も必要です。私の場合は「大学名 シラバス 博士課程」でヒットしました(ex. 東京大学授業カタログ)。

取らなければいけない授業が多いと、有休をとりにくい職場だと大変かもしれません。私の場合は、フレックス制ですので、遅い時間、あるいは早い時間帯の授業で単位取得が可能かを事前に調査しました。結果的にフレックスの範囲でどうにか単位取得できそうだったので、その方向で相談することにしました。

学費の確認

大学と学科が決まれば3年でかかる学費の調べがつきます。大きな支出になりますので、入学金と授業料、両方調べておくようにしましょう。

大学による支援制度

会社側ではなく、大学側から社会人に対して何らかの優遇措置が得られる場合もあります。大きな優遇措置がある場合は、それによって候補の大学が変わるかもしれませんので、複数の大学について軽く調べてみましょう。

最後に

軽い調査ですが、このくらい調べて総合的に判断すると①使用する会社の制度 ②入学予定大学 ③有休取得頻度 ④家庭財政の変化 がなんとなく見えてくると思います。私の場合は①会社の支援制度は使わず ②近場の大学に ③フレックスの範囲内で通い ④収入減少は残業代と賞与査定の悪化程度 という想定でした。

あまり一次調査に時間がかかって相談するのが遅れてしまうのはよくないですし、家族相手など、気軽に相談の機会をとれる状況なら、相談、調査を繰り返す形でもよいかもしれません。ただ、会社との相談となると、相手の時間を取るのもなかなか面倒ですし、こちらの真剣さも伝わるので、ある程度調べてから相談した方が建設的な話ができると思います。

何かひとつでも参考になる点があれば幸いです。

コメント

このブログの人気の投稿

【社会人博士】研究室選択

博士受験対策

【社会人博士】家族や会社への相談・報告